雑記

高校生でもできるリーダーシップの取り方 GIVE & TAKE

皆さんは学生の頃、各委員会の選出をクラス皆で決めた経験はありますか?

その際、こんな経験をした人はいるでしょうか?

 

「私ね、クラスで委員長やっているの。最初の学級会でクラス委員長の選出があったんだけど、誰も立候補する人がいなかったから。どうしようかなって思ったけど、みんな困ってたし私が立候補したんだ。でも、思っていた以上に大変で……。自分から立候補した仕事だし、みんなに手伝ってもらうのも申し訳なくて……」

 

今回はこのような経験をした人、または引き受けた役割や頼まれごとに苦労している人に向けての記事です。

 

さて、上記の委員長は困っているクラスメイト達のために、自分ができる事を考えて行動しました。非常に情愛の深い人です。

 

しかし、良かれと思った行動が想像以上に困難で苦しくなってしまいました。

 

今回はこの問題について、アダム・グラントの「GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代」という本を題材に考えてみようと思います。

 

さて、皆さんは「ギバー」と「テイカー」って言葉は知っているでしょうか?

英語で書くと「giver」と「taker」です。

 

そう「与えるもの」と「奪うもの」という意味ですね。

 

「ギバー」は自分の力で人に何かをしてあげようかな、という思考の人で。

「テイカー」は他人の力で自分に何かをしてもらおう、という思考の人。

 

また、それ以外にもそれらの真ん中に位置する「マッチャ―」というのもあります。

「ギブ」と「テイク」の真ん中で、「マッチ」するという損得のバランスをとるタイプ。

「何かしてくれたら私も何かしてあげる」という思考の人です。

 

大体の人はこの3つのタイプに分類されます。

例外的に「サイコパス」というタイプもあるけれど、今回は省きますね。

 

さて、この3つのタイプのうち委員長は「ギバー」に該当します。

例えば今回の委員長のような「ギバー」は自分の役割じゃなくても教室の黒板を消したり、プリントを配るのを手伝ったり、そういう心根の人が多いです。

 

さて、翻って委員長の悩みですが。

「みんなのために自分から立候補した仕事だけれど、みんなに手伝ってもらうのは申し訳ないが、辛くなってきた」

これに対する解決は「みんなにも手伝ってもらう」ことです。

 

この委員長は「ギバー」が陥りがちな罠にハマってしまっているんですね。

それは「みんなのために自分がやらなければならない」という「自己犠牲のギブ」です。

 

とある研究でいろんな会社で実験を行ったところ、それぞれの職業において

最低の成績を出したのはギバーだという結果が出ています。

 

一番成績が悪かったあるエンジニアは見返り以上に頼まれごとをこなしていた人で。他人がするべき仕事で手一杯で、時間も力も尽きてしまい自分の仕事が終わらなかった。

営業でも同じく売り上げが最低だったのは、最も気前のいい営業マンだった。彼が言うには「お客さんが本当に大切なのでうちの粗悪商品は売りたくない」という事。

 

身に覚えがある人もいるのではないでしょうか?

 

それでは、トップの成績を出していたのは誰だと思いますか?

人の力を自分の物にしてしまう「テイカー」?

 

いいえ、最も優秀な成績を残していたのも「ギバー」なんです。

 

最低成績も最高成績も「ギバー」。これはどの職種においても同じ結果が出ていました。

じゃあ、成功する「ギバー」とドベの「ギバー」は何が違っていたのか分かるでしょうか?

 

成功する「ギバー」は自分が「受け取る」側になってもいいと、認識しています。

 

委員長のような「ギバー」の人で学級委員長の仕事を一生懸命やっている時、友達の誰かが「手伝おうか?」と言ってきたことはないでしょうか?

 

その時、簡単な内容だったからと、申し訳なかったからと、大丈夫って言っちゃった経験はありますか?

 

恐らくその子も「ギバー」か「マッチャ―」なんでしょう。

「マッチャ―」は与えられたら与えたい人の事です。委員長が頑張っている姿を見て声をかけてくれたんでしょう。

しかし、委員長は友人の「与えたい」と思った気持ちを断ってしまいました。

これは「イエス」か「ノー」か。もちろん「ノー」ですね。

 

「助け合う」という行為は綺麗事ではなく、事実として優れた行動なのです。

非常に多くの研究が「与える」行為のチームや組織の中での発生頻度を調べていて、人々が助け合い知識を共有しあい面倒を見合う頻度が高い組織ほど、測定可能なあらゆる指標において優れていたという結果があちこちにあります。

 

それは利益率や顧客満足度、従業員の定着率だったり様々です。

 

大事なのは「助け合い」です。一方的に与えるだけでは、燃え尽きてしまいます。

それは委員長にとっても、クラスにとってもネガティブな事です。

 

助け合いが生まれない組織に未来がない事なんて、分かりきったことですよね?

 

それに、助け合いはただ単位ギバーや成功や幸福を守るためだけではなく、ギバーの様にふるまう人々を増やすためにも非常に重要なこととなります。

 

「マッチャ―」は与えれば与え返してくれる存在だし、委員長以外にもクラスに「ギバー」は必ずいます。

そういう人たちの活躍の場を作り出せる立場に、委員長はいます。

 

委員長が学級委員長として行うことは自分が犠牲になってクラスを良くする事じゃありません。クラスの中で「助け合う文化」を作り出すことです。そして、それはとても大変な事です。

しかし、組織作りという悩みは、社会に出た時に直面する大きな壁の一つにもなり得ます。それを学生時代に経験できるなんてすばらしい事ですよね。きっと大きな力になります。

 

まずは手伝いを申し出てくれた子に、お礼とお願いをしてみるといいかもですね。

 

参照:アダム・グラント著 GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代