SDGs

SDGs16「平和と公正をすべての人に」出生届の大事な役割

SDGs16「平和と公正をすべての人に」

「持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する」

目標16は、人権の尊重、法の支配、あらゆるレベルでのグッド・ガバナンス(良い統治)、および、透明かつ効果的で責任ある制度に基づく平和で包括的な社会を目指しています。依然として長引く暴力や武力紛争に直面する国が多いほか、脆弱な制度によってほとんど支援が受けられず、司法や情報にもアクセスできず、その他の基本的自由も享受できない人々があまりにも多くなっています。

16.1 あらゆる場所において、すべての形態の暴力及び暴力に関連する死亡率を大幅に減少させる。
16.2 子どもに対する虐待、搾取、取引及びあらゆる形態の暴力及び拷問を撲滅する。
16.3 国家及び国際的なレベルでの法の支配を促進し、すべての人々に司法への平等なアクセスを提供する。
16.4 2030年までに、違法な資金及び武器の取引を大幅に減少させ、奪われた財産の回復及び返還を強化し、あらゆる形態の組織犯罪を根絶する。
16.5 あらゆる形態の汚職や贈賄を大幅に減少させる。
16.6 あらゆるレベルにおいて、有効で説明責任のある透明性の高い公共機関を発展させる。
16.7 あらゆるレベルにおいて、対応的、包摂的、参加型及び代表的な意思決定を確保する。
16.8 グローバル・ガバナンス機関への開発途上国の参加を拡大・強化する。
16.9 2030年までに、すべての人々に出生登録を含む法的な身分証明を提供する。
16.10 国内法規及び国際協定に従い、情報への公共アクセスを確保し、基本的自由を保障する。
16.a 特に開発途上国において、暴力の防止とテロリズム・犯罪の撲滅に関するあらゆるレベルでの能力構築のため、国際協力などを通じて関連国家機関を強化する。

 

日本の治安は国際社会から見てもよいことは周知の事実です。2020年のオリンピック誘致においても大きく取り上げられました。そして実際に国内の犯罪率は2002年をピークに減少が続き、2017年では年間92万件で戦後最小を更新しました。

しかしながら、国内では依然として犯罪に対する法の改善が求められております。

その最たるもの一つに児童虐待があります。同じく2017年に全国の児童相談所(児相)が相談や通告を受けて対応した児童虐待の件数は、前年度比9.1%増の13万3778件(速報値)で過去最多を更新したことが厚生労働省の集計で分かりました。これは1990年以降集計開始から増加を続けている問題です。また、2018年の目黒で起きた虐待事件を機に、厚生労働省は「児童虐待防止対策の抜本的強化について」を決定しました。

各地の行政でも児童相談所の設置や専用の通報ダイヤルを設置し、児童虐待の早期発見に向けて取り組んでおります。しかしながら、実際には虐待を受けている児童の周辺にいる人々が通報を行わなければ、これらは効力を発揮しません。児童相談所などの専門性の高い人員を増加するだけでなく、地域社会との連携が子どもを守るために必要となります。

 

さて、ではどうやって日本では児童虐待の発見が可能なのか。

その根幹にあるのが「出生届」です。

日本では子どもが生まれると、自治体に出生届が提出され戸籍に登録されます。そしてそれをもとに、各種検診や健康確認の連絡が来ます。もし、こうした検診案内や安否確認に不審な動きがみられたならば、公的機関からの保護が入ります。こうした健康の保全や安全確認がなされるのは、出生届によって、法の庇護下に入る権利を保障されているからです。

 

しかしながら、国際社会においてこの「出生届」の提出すら困難な状況にあり、改善を必要とする国があります。2019年、ユニセフ(国連児童基金)は、世界の出生登録に関する新たな報告書を発表しました。なんとそこでは、1億6,600万人の5歳未満の子ども(4人に1人に相当)がいまだ未登録であることを明らかになりました。

 

参考:法的に存在しない子ども、1億6,600万人

https://www.unicef.or.jp/news/2019/0179.html

 

そしてこの1億6,600万人の子どものうち半数が、インド・ナイジェリア・パキスタン・コンゴ共和国の5か国に暮らしています。

 

出生登録のない5歳未満の子どもの地域分布図(%)

出典:ユニセフ

各国家の法整備の話となると、個人の活動範囲における効果は中々難しいというのが正直なところです。

 

しかしながら、何事も知ることから始まります。問題を知ることで解決に向けての課題が見えます。課題が見えれば行動を始めることが出来ます。自分で行動をおこせなくても、行動している人・団体を支援することはできます。

 

それぞれに上下関係はなく、すべて等しく大切な事です。

これらの中で自分にできる事を見つける事が大切だと、私は思います。