雑記

上司が求める部下の能力 「質問力」

突然ですが、質問です。

 

「皆さんはiPhoneについてどう思いますか?」

 

さて、どのように答えるでしょうか。

 

ではもう一つ。

 

「私は未だにスマートフォンを持っていません。iPhoneが初心者にとって使いやすいと聞いたんですけど、実際のところどうですか?」

 

皆さんはどちらの質問が答えやすいですか?

 

どちらも「iPhoneについて」の質問ですが、何を聞きたがっているかは後者の方が明らかです。

後者は質問者の状況がわかります。

質問者はスマートフォンを所持していないが、iPhoneというデバイスについて多少の知識はあるようです。

そして、求めているのは使いやすさについて。

答え方としては自分の経験に則って答えられる。

 

「使いやすい」か「使いにくい」か。

「使ったことがないからわからない」か「アンドロイドが良い」か。

 

こうした質問力は鍛えれば鍛えるほど自分の価値を上げることが出来ます。

それはなぜか、詳しく見ていきましょう。

 

質問力を鍛える事で、他人からの評価が上がる

 

皆さんはジャーナリストの池上彰さんの番組をご覧になったことはありますか?

池上さんは番組中にタレントに質問させ時折こう言います。

 

「良い質問ですねぇ!」

 

この瞬間、視聴者である皆さんは質問したタレントをどう思いますか?

恐らく多くの人が質問者に対しての評価を上げると思います。

 

「それについて知りたかったんだよ」

「よくその質問に行き着いたな」

「そういう考え方もあるのか」

 

聞きたい事を的確に射貫く質問というのは、質問者の理解力や基礎知識・発想力を、質問を聞いた人間に知らしめるのです。

 

明解な質問は時間短縮に繋がる

 

質問というのは意識して行わないと、ついつい長くなってしまいます。

「~で、~が、~だと思うんですけど、○○についてどう思いますか?」

 

こういう形式は、文言の最後に質問をもってきています。

聞き手は最後の質問が来るまで、いったい何を聞かされているのか分かりません。

質問が来るまではただひたすら、相手のお話を伺っているだけです。

 

「どう思いますか?」と最後に聞かれた時になって初めて、何について話しているのか理解できる、こういう状況はよく見かけます。

 

長い質問や要領を得ない質問は、回答者を不快にさせてしまいます。

一対一の場ならまだしも、会議の場での質問となると、多人数の時間を奪ってしまいます。

 

質問をする場合は明確さが必要です。

「○○について質問です。現在××という状況にありますが、どのようにお考えですか?」

 

相手に明解な質問内容を最初に提示することで、答えやすい環境を作ることができます。

テンポの良い質問は、テンポの良い会議を作ることが出来るのです。

 

的確な質問は労力を減少させる

 

これが授業や講義ならば、知識の伝授だけで済むでしょう。

しかし、仕事中の質問はこうはいきません。

「部長、○○社との営業で値下げ交渉されたのですが、どうですか?」

 

さて、皆さんはどう答えますか?

実はこの質問、実際に私が上司に行った内容です。

 

この質問をした時、私は上司にこう言われました。

 

「私の仕事は君の判断にYesかNoかを言うことだ」

「君の仕事は君が行いたい判断について私に許可を求める事だ」

「君の仕事の判断を私にさせるのは、君の仕事ではないし私の仕事でもない」

「答えはNoだ。もう一度よく考えて質問を持ってきなさい」

 

その後、私はもう一度○○社との営業内容を吟味し、質問をし直しました。

「部長、値下げの許可をお願いします。○○社との営業で値下げ交渉をされました。現在、○○社には△△を10万円の価格で提示しており、うちの利益は4万円あります。これを複数購入することを条件づけて、8万円で提供したいと考えています。その場合、うちの利益は20万円となります。通常価格よりも利益は減少しますが、○○社とは今後も取引が続くと思います」

「わかった。Yesだ。それでいこう」

 

こうして○○社との取引は上手くまとまりました。

 

もし、最初から的確な質問を行うことが出来ていたら、Noを出されずに済みました。

 

仮に、最初の質問で部長に判断させていた場合、私の仕事を部長にさせる事になります。

それって私のいる意味はありませんね。

私という人件費を支払う必要はありません。

 

正しい質問を行うことで、判断に対する労力を減少させることが出来ます。

さいごに

さて、ここまでいくつかの質問の例を挙げてきました。

そろそろ、悪い質問と良い質問の違いについて、共通する部分が見えてきたかと思います。

 

悪い質問と良い質問。

その違いは「質問に含まれる情報量と明確さ」です。

 

「情報量」と「明確さ」はそれぞれ役割が異なります。

 

「情報量」は回答者が質問に答えるための材料です。

「明確さ」は質問者が本質的に尋ねたい事柄です。

 

iPhoneの質問は、「質問者の経験や現状」という情報量を渡し、明確に「使いやすさ」を尋ねています。

 

会議の質問は「○○」について質問という明確さがあり、「××という状況」という情報量があります。

 

仕事の質問は「値下げについて」という明確さがあり、「値下げを行うための条件」という情報量があります。

 

 

こうした質問力を強化することで、正しい答えを得られるようになります。

また、相手の時間や労力を無駄にすることもなくなり、自分を良く見てもらえます。

 

現代社会において質問力は必須の能力と言えるでしょう。